富ヶ谷の交差点のすぐ近くに、国内でも珍しいダッチヴィンテージ家具(オランダのヴィンテージ家具)を扱うインテリアショップがあります。目印は細長いベンチとヴィンテージ感漂う自転車!ヴィンテージとか、アンティークとかって、好きな人は好きだけど、ちょっと興味があっても何となく入りづらい雰囲気とか感じてしまうことも多いですよね?こちらのCouscous Furniture(クスクスファニチャー)さんは全くそんなことはございません。まるでおもちゃ箱のような、ワクワクする空間、Couscous Furnitureさんのオーナーである樫浦淳(かしうらじゅん)さんにお話を聞いてみました!
■Couscous Furnitureのルーツ
今年、5/13に5周年を迎えたというCouscous Furnitureさん。取材の前日、サーフィンをしてきたという樫浦さん。筋肉痛に耐えながらもノリノリでお話してくださいました。
元々樫浦さんはフランスで古着の買い付けのお仕事をされていたそうです。
樫浦さん:
「昔、フランスに住んでいて、7年くらい古着を買いつけて日本に送る仕事をしていたんだよね。最初は学生で1年くらいの留学のつもりが、向こうで就職しちゃったんだよね!」
当時の古着のお仕事では、洋服だけではなく、什器なども扱っていたそうで、その流れでだんだん興味が家具へと自然にシフトしていったそうです。その頃に現地で出会った友人たちとは今でもつながりがあり、現地での買い付けなど、今のCouscous Furnitureを作り上げている公私ともに大切な関係なのだそうです。昔からやってきていることが今につながっているって、本当にステキで幸せなことだと思います。
ちなみに、お店の名前の由来は、フランス在住時代にお世話になった中東系の友人がよくクスクスを食べさせてくれたという思い出からつけたとのこと!まさに人との出会い、つながりを大切にしている樫浦さんの想いが感じられますね。
■年に2回はオランダに買い付けへ!
お店で扱っているアイテムは全て自ら選んで買い付けているという樫浦さん。年に2回の買い付けの旅では、オランダだけでなく、ベルギーやドイツなど、ヨーロッパ各所を回って面白いものをとことん探してくるのだそうです。つい最近も買い付けに行ってきたとのことで、新しい商品が近々お店に並ぶ予定です!
現地では、トラックを借りてひたすら宝探しのような旅をされるという樫浦さん。なんと、2週間で4500キロも車で移動したりすることもあるそうです。現地では、古着のお仕事に就いていた頃に知り合った人々を通じてアンティーク家具ショップ、ディーラーを巡ります。中でもアツいのが、フリーマーケットや骨董市。普通の家庭などから出てきたヴィンテージアイテムは、使ってきた人の味があるのだそうです。滞在中にフリーマーケット情報があれば、それが200キロ先であろうと出向くのだとか。行ってみたはいいけれど、戦利品が何もなしなんてこともあるそうですが、お宝を求めての長距離ロードトリップって、想像するとカッコイイですよね。
こちらは今回の旅で訪れた、アムステルダム南西の小さな街Katwijkにある陸軍基地でのフリーマーケットの様子。
Couscous Furnitureさんには、家具だけではなく、雑貨など実にさまざまなアイテムが置かれています。現地ではどのように商品となるアイテムを選んでいるのでしょうか?何か宝探しのコツみたいなものがあるのでしょうか?もちろん、長年の経験から「コレだ!」みたいなものはあるかと思いますが、その辺りを樫浦さんに聞いてみました。
樫浦さん:
「きれいすぎて手の届かない値段のものよりは、経年を活かした味のあるもの、前の持ち主の傷とか、味わい深いものを選ぶようにしています。すごくきれいな状態のヴィンテージよりは、現代の普通の生活に溶け込めるようなものを中心に探しているんです。博物館においてあるようなスペシャルなヴィンテージとかではなく、実用性があって、日常でちゃんと使えるもの。あとは日本の生活に合うような、なるべくコンパクトなものかな。直観でコレだ!と思うものは必ず買うし、ほとんどが二度と出会うことがないようなものだから、迷うくらいなら何でも買っちゃいますね(笑)。」
こちらはドイツのデュッセルドルフでのマーケット。
富ヶ谷新聞hazuki:
「海外からだと送るのも大変ですよね。家具だと大きいし、海外からちゃんと壊れないで届くかどうかも心配ですよね?」
樫浦さん:
「そうだねぇ。洋服はまだマシだけど、家具となるとコンテナになっちゃう。買い付けて、コンテナに運ぶのもなかなかの大仕事(笑)。」
出荷はこんな感じだそうです。
■気になる!お店で扱っているアイテム
お店の前にはCouscous Furnitureのトレードマークとも言えるベンチと自転車があります。自転車は樫浦さんの私物。これもオランダで買ったものだそうです。さてさて、店内にはどんなアイテムが並んでいるのでしょう?
Couscous Furnitureでは、ダッチヴィンテージ中心に、ヨーロッパのモノ、時々日本のアンティークも扱っています。こちらは、国内のふるもの市で見つけたのだそう。日本の古い良いものも紹介しています。
こちらは、オランダの図書館で使われていたという本棚。
樫浦さん:
「オランダの家具ってカラフルで、差し色がきれいなんだよね。ウッドとメタルがうまく使われていたり、北欧の家具とはまた違った味わいがあるのが魅力なんです。それにね、オランダには186ヵ国もの国から人々が集まっていて、偏見も差別もないの。みんな本当に親切で素敵な国なんだよ。」
樫浦さん、オランダとオランダ家具の魅力を笑顔で語ってくれました!
こちらはVレッグというオランダ家具の象徴的なスクールチェア。オランダならではのスタイルで、超丈夫なのだそうです。長持ちするし、コンパクトで使いやすいのでおすすめとのこと!
ダッチインダストリアルのアイコンであるコンパスレッグ。(コンパスの様な脚)
華奢なフレームですが、非常にしっかりとしていて、製造より50年以上経た現在でも、デザインと実用性を兼ねた一脚としておすすめだそうです。
インパクトのある大きな箱を見つけました!
富ヶ谷新聞hazuki:
「これ、CDって書いてありますけど、何の箱ですか?」
樫浦さん:
「これね、もともとCDって書いてあったんだけど、軍のマシンガンの弾とかを入れる箱。」
富ヶ谷新聞hazuki:
「CD入れじゃないんですね!?まさかの軍モノ!!」
富ヶ谷新聞hazuki:
「こ…これは、何ですか!?」
樫浦さん:
「シャワーヘッド(笑)。」
富ヶ谷新聞hazuki:
「いろんなものを見つけてくるんですね(笑)。」
こちらはお店の前にも置いてあるベンチと同じもの。
ヨーロッパのビストロのテラス等で使用されている折りたたみ式のベンチです。パイン材の座面をしっかりとしたアイアン製の脚が支えていて、収納するときは脚を折りたたんでスリムになります。経年変化をしたパイン材の表情とアイアンの雰囲気が良く、店舗什器としての使用もオススメだそうです。
日本製の70年代の食器などもあります。
こちらはストーンウェアと呼ばれるもので、当時日本の職人さんたちが北欧の食器に追いつくべく切磋琢磨して作ったもので、昔の喫茶店などで使われていたそうです。近年、当時の日本のアラビアが注目を集めていて、海外に流れているので海外で見つけて逆輸入的に手にいれることも多いのだとか!
富ヶ谷新聞hazuki:
「今回取材させていただいて意外だったのですが、お値段がお手頃ですよね。」
樫浦さん:
「うん。なるべく安く手が届きやすい、お求めやすい値段を心がけています。ちょっとお値段のするものだとコレとかかなあ?こういうのも扱ってます。」
ヘリット・リートフェルトというオランダで最も有名なデザイナーによる椅子。オランダのデザイン運動、De Stijl (デ・スティル)を体現したチェアで、イタリア70年代カッシーナ社製というブランドモノ!
お店で扱っているほとんどのアイテムは、樫浦さん自らメンテナンスやクリーニングをしてから店頭に出すそうです。新品のようにきれいな状態で売っているものはやはり高価で、お店で扱うとなるとさらに高価になってしまうので、なるべくきれいなものを探しつつ、さらにきれいにしてから店頭に出しているとのこと。それでも時々、手に負えないようなものもあって、さすがにそういうものは業者に依頼するそうですが。
こんな巨大な照明もありました!
お店にあるものは、照明やカウンターも含め、基本的には全部商品。ただ、カウンターは代わりがなかなか見つからないので売る予定はないとのことですのであしからず。笑
今回、いろいろな商品を見せていただいて、どれも家で使うことをイメージできるものが多いと感じました。アンティークショップに行っても、自分の生活に取り入れるにはあまり現実的ではないなと思うことが多い中で、ダッチヴィンテージ家具は意外にも身近に取り入れることができそうです。
樫浦さん、お忙しい中ありがとうございました!
Couscous Furniture
渋谷区富ヶ谷2-6-1 メゾンクレール
03-3460-2530
営業時間:12:00-20:00
定休日:毎週金曜日
ウェブストア:http://couscous.theshop.jp/
Instagram(商品情報など更新中!)
取材/文 hazuki