実直で素朴、だから美味しい。初台のアトリエ・ド・マーのミニタルト。

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「初台って、新宿区?」
とおっしゃった方を思い出します。
初台は渋谷区の端っこでして、代々木八幡から徒歩ですぐです。
そして、
「初台って、オペラシティの他に何があるの?」
と訊かれたら、私は必ずこう答えます、
「アトリエ・ド・マーがあります!」
と。
日本で唯一のミニタルト専門店(当時)、初台商店街の中に小さく佇む可愛らしいお店。
しかしそこで販売されているスイーツは驚くほど美味しく、初台住民のみならず、近隣・遠方の住民をも魅了し続けています。
開店当初からファンである私、満を持して取材に行ってきました!

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飲食のチェーン店が増える昨今の初台商店街ですが、こんな風にちょこんとアトリエ・ド・マーさんはいます。

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一番の目印は、この手書きの黒板です。
オープン当初、この黒板に「日本で唯一のミニタルト専門店」と書かれていたのを思い出します。

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アトリエ・ド・マーさんのシンボル的な看板です。
白地に水色の文字。

富ヶ谷新聞
こんにちは!

山本さん
こんにちは。

こうしてご挨拶させて頂いている間にも、お客さんが入れ代わり立ち代わりご来店。
まずは写真を撮らせて頂きました。
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入店してすぐショーケースと対峙。
綺麗な色とりどりのタルトやケーキが並びます。

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シンプルかつオシャレな内装。
ホッと安らぐ優しい空間です。

山本さん
では、よろしくお願いします。
オーナーの山本です。
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なんと、接客の合間を縫って、レジカウンターを挟んでの取材。
お忙しい中、本当にありがとうございます!

富ヶ谷新聞
まず、オープンはいつでしたでしょうか。

山本さん
2010年の9月ですね。もうすぐ8年といったところです。

富ヶ谷新聞
開店当初の、「日本で唯一のミニタルト専門店」という響きが今でも強く残っています。
なぜ、ミニタルト専門店を作ろう!と思われたのでしょうか。

山本さん
そうですね、最初はあらゆる種類のスイーツを作っていました、ですがお店を開くにあたって、何か一つに絞りたかったんです。
それがタルトだったんです。
「日本で唯一のミニタルト専門店」は当時調べまして、三角のタルト(ホールケーキの切り売りのような形)の専門店はたくさんあったのですが、ミニタルトの専門店は当時なかったんです。

富ヶ谷新聞
現在は、笹塚店もありますからね(注:現在初台のアトリエ・ド・マーさんは初台本店)、唯一ではなくなってしまいましたが・・・
いつもパッとショーケースを見ると、フルーツを使ったタルトやケーキが沢山目に飛び込んできますが、偶然フルーツのものが多いのでしょうか、それとも意識して使っているのでしょうか。

山本さん
意識して使っていますね。
フルーツにはこだわっていて、農園さんや特定の八百屋さんにお願いしています。

あの美味しいタルトのフルーツは厳選されたものだったのですね。
非常に納得です。

富ヶ谷新聞
このタルトやケーキ、焼き菓子のメニューはどなたが考えるのでしょうか。

山本さん
私です。

富ヶ谷新聞
お一人でっ!?

山本さん
一人です(笑)。

歴代の数々のスイーツ達は、全て山本さんが独自に考案していたのですね!
夜中に「うむむ」と考えている山本さんの姿が脳裏をよぎりました。

富ヶ谷新聞
これらの豊富なメニューは、かなりの頻度で変わっていますよね。
サイクル等は決まっているのでしょうか。

山本さん
一週間だったり、ひと月だったり、まぁ・・・不定期です。
食材がなくなり次第終了するものもありますし。

山本さん、相当なアイデアマンとお見受けしました。

なお、ショーケースは3段ありまして、上段はベーシックなタルトやホールケーキが並びます。
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中段はフルーツをふんだんに使った、ミニタルトや小さめのケーキが並びます。
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下段は自家製プリン(「マープリン」といいます)や大きめのタルト・ケーキが並びます。
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富ヶ谷新聞
そういえば、焼き菓子ってこんなにありましたっけ・・・

山本さん
オープン当初からありますが、種類はものすごく増えました。
そもそも、ミニタルト専門店でオープンしましたが、「ケーキが欲しい」「焼き菓子の種類を増やして欲しい」等々、ご要望が沢山あったものですから、ケーキもだいぶ増えました。

お客様のご要望で少しずつ変化していっているアトリエ・ド・マーさん。
この変化に我々は驚かされ、そして甘美な喜びに浸り続けています。

富ヶ谷新聞
アトリエ・ド・マーさんの外観や装飾って、当初からずっと可愛らしくオシャレですが、これはどなたが考えるのでしょうか。

山本さん
あ、これは業者の方に頼んでいます。
木の温もりを感じられるデザインを基調としています。

何となく北欧をイメージしてしまうようなお店なので、木の温もり、深く感じられます。
お店の前を通るだけで、一瞬北欧の街を歩いている錯覚に陥るほどです。

接客の合間に、私の拙い質問にキチンと真っ直ぐ答えて下さる山本さん。
基軸がしっかりとしていて、ブレのない回答は「職人」の姿です。
過度に飾ることなく、素材がそれぞれ持つ美味しさを最大限に引き出し、嘘偽りのない「作品」を生み出し続けるアトリエ・ド・マーさん。
山本さんの姿は、ミニタルトに如実に表れています。

さて、2年ほど前より「イートイン」を始めたそうです。
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レジのこのボードの通りです。
アトリエ・ド・マーさんでイートインとしてタルトを購入し、アトリエ・ド・マーさんのスタッフさんが、イートイン場所であるカフェまで持って来て下さる仕組みです。
なお、このカフェはアトリエ・ド・マーさんは「業務提携」しているだけで、経営元は別です。

それでは、私の大好きなベーシックなタルト、「イチジクとブルーベリーのタルト」をイートインします!
お会計はアトリエ・ド・マーさんで済ませて、イートインのカフェへ。
こちらのカフェもオシャレで、取材ゴコロがうずうず・・・
ワンドリンク制なので、カフェのレジでオーダーします。
座って待っていると、来ました!私のタルト!
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お、お、オシャレに盛り付けがされています!
小皿に乗せるだけだと思っていた私・・・おもてなしの心ゼロです・・・

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断面図です。
フォークで充分に割れるほどの、程よい固さです。
いただきます!
イチジクの甘酸っぱさに、クッキー生地のサクサクのタルト、それらが口の中で平和に共存しています。
シンプルでいて、甘過ぎず上品な味。
お、美味しいっ・・・!
フィリング(タルトの中身)がしっとりふんわり柔らかく、そしてアクセントとしてサクサクのタルトが重なり合って、「美味しいものを食べる幸せ」をまさに噛み締めることができます。

食後にご挨拶に行くと、やはりお客様がいらっしゃって、人気店の風格を感じました。
取材中も、お子様連れのご家族や、カップル、贈答用の焼き菓子を買う男性たち、様々な世代の方々が訪れていました。
誰からも愛される小さなお店。
そこには、幸せと美味しさがいっぱい詰まっていました。

山本さん、お忙しい中、本当にありがとうございました!

Atrlier de Mar
住所 東京都渋谷区初台1-39-11
TEL 03-5351-1622
アクセス 初台駅徒歩1分、代々木八幡駅徒歩15分
営業時間 10:00~20:00
定休日 年末・年始

取材/撮影/文:寺脇千草

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