「代々木八幡のバー」カメラマン高橋葉氏によるコラム連載第2弾

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代々木八幡のバー

お酒を飲めるようになってすぐくらいにジャズ好きの父親に連れられてバーに行ったことがあった。
初めてのカウンターで、横並びの父を真似てマッカランの水割りを一緒に飲んだ。
父がリクエストしたビルエヴァンスのレコードを真空管アンプの暖かい音色で聴きながら、バーって大人だなぁ。となれないウィスキーにふわふわしてしまった記憶がある。

代々木八幡に住み始めた頃、当時はまだアシスタントでお金がなく、バーに行くなんて贅沢だった。
でも、どうしても飲みたい衝動に駆られて、初めて行ったのが代々木八幡商店会にある黄色い看板のGGCだった。大きなエル字カウンターとテーブル席、少し明るめの店内は、料理のいい香りと、笑い声に包まれた温かい空気が伝わってきた。賑やかに集う大人たちに誘ってもらい、カウンターに座り、色々とお話しをしながら楽しく過ごしたことは今でも鮮明に覚えている。
楽しい雰囲気が忘れられなくて、その後、ザンジバルタラモアトカゲナティといろんなバーに吸い込まれて行き、代々木八幡周辺のバーにどっぷりと浸かっていってしまった。

お気に入りのお店も、たまに顔を出すお店も、存在を知っていてもなかなか入れず思い切って入ったお店も、どこも、あたたかく優しい。
様々な特徴があるお店には、定番のお酒はもちろん、八幡ハイボール、ダーハイに、オリジナルのリキュール、今流行りのクラフトビール、クラフトジンが豊富なお店も多い。
ひとり聞き耳を立てながら、しっとりグラスを傾けるもよし。通ううちに、お話し相手を見つけるもよし。
それぞれのカウンターが迎え入れてくれる。

そんな代々木八幡のバーたちに今日も吸い込まれそうです。

 

写真・文 yow takahashi

高橋葉(yow takahashi)
代々木八幡在住15年とちょっと。
本業のカメラマンの傍ら、バーザンジバル月曜日担当。
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