渋谷区のほぼ最北に位置するのが「本町」エリア。
よく”ほんちょう”と読まれますが、正しくは”ほんまち”と読みます
(なお、中野区の「本町」は”ほんちょう”と読みます、ややこしや・・・)。
富ヶ谷エリアから、直線でおよそ1kmぐらいに位置します。
古き良き時代の日本が垣間見える、のんびりとしたエリア、本町。
偶然にも当記者は見つけてしまいました、本町に、本格派で隠れ家的な深煎り専門コーヒースタンドを!
富ヶ谷エリアから少し歩きますが、自信を持ってご紹介致します!
商店街の路地に入るあたりに、G☆P COFFEE ROASTERさんはあります。
引き戸を引くと、ネイティブアメリカンの家に招かれたような感覚に。
オレンジの柔らかな温かみのあるライトが、ホッとします。
ここにある豆、どれも美味しいんです。
びっくりするほど美味しいんです。
皆様に全ての豆をおススメできます。
富ヶ谷新聞
こんにちはー!
G☆P COFFEE ROASTERの店主である、ドレッドヘアと髭が目印の実さん。
クールな見た目と違い、とても気さくでフレンドリー、聞き上手な穏やかな方です。
実さんは何と当記者と同じ神戸市須磨区生まれ。
普段は標準語の実さん、相手が関西人と分かると関西弁になります(私も同じく)。
今回も関西弁混じりでしたが、敢えて標準語表記とします。
富ヶ谷新聞
まず・・・店名の「G☆P」の由来を教えて下さい!
GとPの間の☆は必要ですか?
実さん
あ、☆は必要です。
富ヶ谷新聞
なるほど、「つのだ☆ひろ」みたいな。
実さん
・・・?
ああっ、いきなりジェネレーションギャップが!
実さんは、平成ひと桁生まれのナウいヤングなのです。
実さん
ええと、「GP]というのは、「ジプシープリンス」という、僕の昔のあだ名なんです。
神戸の喫茶店で働いていた時に、お客様から名付けられまして。
その頃髪が長かったのでジプシー風だったのと、
当時働き過ぎで目の下にクマが出来てて、その顔つきが歌手のプリンスに似てたみたいで。
富ヶ谷新聞
あっ、「王子」ではなく、「パープル・レイン」のプリンス!
富ヶ谷新聞
最初は神戸にいて、今は東京でこのお店を営んでいらっしゃる。
その間はどんな流れがあったのでしょうか。
実さん
そうですねぇ・・・
まず、僕は20歳で喫茶店で働き出したんですね。
その時はコーヒーが好き、というよりも「カフェの雰囲気」が好きだったんです。
それから、バリスタに興味を持ち始めまして。
日本で改めてコーヒーが認知され始めた頃です。
「日本で改めてコーヒー認知され始めた頃」、
いわゆる「セカンドウェーブ」、スターバックス等のシアトル系コーヒーが台頭してきた頃です。
スターバックスは1996年に日本初上陸、その後瞬く間に日本中に展開。
コーヒーを嗜まない層も魅了していくという、新たなコーヒー文化がもたらされました。
実さん
そして、サイフォン・ネルドリップ・ラテアート・焙煎士に興味を持ち始めて、
そうすると、コーヒー豆の国の産地に興味を持ち始めたんです。
その頃はコーヒースタンドが日本にあちこち出来始めていて。
ブルーボトルが初上陸したり、あ、その頃僕はまだ神戸にいましたけど。
「清澄白河にブルーボトルコーヒー日本初上陸、連日長蛇の列」という話題は記憶に新しいかもしれません。
「サードウェーブ」の火付け役とされるブルーボトルは2015年に日本初上陸、
日本にさらに新たなコーヒー文化が浸透していきました。
それぞれが自家焙煎し、一杯ずつハンドドリップ、
コーヒー豆の個性を引き出す浅煎りが主流とされています。
実さん
そして東京に来て、HOFFさんのオーナーと知り合いだったので、
HOFFさんで働かせてもらってて。
富ヶ谷新聞
ええっ!?!?
当記者の幼馴染のお気に入りのお店がHOFFさんで、一度連れて行ってもらったことがありますが、
ニューヨークテイストのオシャレなカフェで、ドキドキした覚えがあります。
絶大な人気を誇るHOFFさんは初台にあります。
なお、HOFFさんでは実さんが焙煎した「HOFFブレンド」が販売されています。
⇒ cafe HOFF
実さん
で、横浜の青葉台のお店で焙煎を教えてもらって。
そこで、イベントに出店することが決まったんです。
まだその時は店舗は無かったんですが、名前を付けないといけないので、
G☆P COFFEE ROASTERと決めました。
その後、卸し先や次のイベントの出店がどんどん決まりまして。
コーヒーフェスティバルにも呼んで頂けました。
※コーヒーフェスティバル:東京の青山で行われる日本最大級のコーヒーのお祭り
富ヶ谷新聞
素晴らしい!
イベントで実力が認められて、卸し先が決まるとは。
・・・でも、店舗は無いんですよね。
実さん
無いんです(笑)。
そこでようやく、「お店を持ってみたら?」という話が出まして。
富ヶ谷新聞
普通とは逆の流れでお店を持った感じですね。
でも、実力があると店舗が無くても卸し先が決まる、というのは驚きました。
こちらのお店は、いつオープンされたのでしょうか。
実さん
2017年の7月です。
もうすぐ3年になりますね。
G☆P COFFEE ROASTERさんでは、定番のシングルオリジンのコーヒー豆の他に、
毎月、期間限定ブレンドが販売されています。
最近のブレンドを挙げますと、4月は「桜人(さくらびと)」、5月は「好日(こうじつ)」、
そして6月は「恵(めぐみ)」。
「ブレンドのイメージは雨音と楽しむ一杯。
本を読みながら、音楽をききながら、少し重めの珈琲。
窓際から聴こえる雨音を感じながら飲む珈琲もまた最高です。」
富ヶ谷新聞
いつから期間限定ブレンドを始めたのでしょうか。
実さん
んー、お店を始めてからすぐだったと思いますよ。
期間限定ブレンドを楽しみにして下さっているお客様もいらして、嬉しいですね。
ひと月ひと月それぞれのイメージや合うテイストを考えながら、コーヒー豆を選定し、
理想のテイストに近づくように焙煎する。
コーヒーを使って、自らの想いを表現する、それはもはや「飲むアート」です。
「好日」のさっぱり感も好きでしたが、「恵」のしっとりと落ち着きのあるテイストは、
心の奥からゆっくりと安心できる美味しさです。
富ヶ谷新聞
現在の流行りとしては浅煎りが主流ですが、どうして深煎りを扱っているのでしょうか。
実さん
単純に、自分自身が深煎りが好きなんですよ。
それと、日本独自の「喫茶店文化」というのでしょうか、
クラシカルな古き良き日本のコーヒーの文化を、
僕達のような若い世代が、さらに若い世代に伝えていきたいんです。
実さんの「相棒」、Fuji Royalという日本製のロースター。
ロースターは数あれど敢えて日本製のものを選んだとのこと。
確かに、「日本」を徹底されています。
富ヶ谷新聞
まさに、職人ですね。
お若いのに、しっかりしていらっしゃる。
実さん
今は一旦浅煎りが落ち着いてきた頃だと思っていて、
自分自身がどういうコーヒーが好きか、選んでいく時代になっていっていると思うんです。
飲まされるのではなく、選んで飲む時代に。
モノが溢れる現代社会、多様性を重んじる現代社会。
自分が何を求め、何を好むのか分かっていなければ、簡単に流されてしまう時代。
流行っているから選ぶのではなく、自分が好きだから選ぶ。
自分で考えて、自分で判断する、
そうでなければ曖昧でぼんやりとした人生を送る羽目になるんだろうな、
そんな風に、若き焙煎士に教えて頂きました。
実さん、お忙しい中、本当にありがとうございました!
G☆P COFFEE ROASTER
住所 東京都渋谷区本町2-28-4
アクセス 初台駅徒歩10分
営業時間
平日:11:00〜20:00
土曜・日曜・祝日:10:00〜20:00
※しばらく土日祝日は11:00~18:00です。
定休日 水曜日
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取材/撮影/文:寺脇千草