タイトルを見て、「園児がヒップホップ!?」と、ビックリした方も多いのではないでしょうか?すごい時代がやってきたものです。富ヶ谷保育園のきりん組の子どもたちが、生まれて初めてラップに挑戦するということで、富ヶ谷新聞も駆けつけました!
今回子どもたちにラップを教えてくれたのは、ヒップホップユニット『Romancrew(ロマンクルー)」でMC、トラックメーカーを務めるALI-KICK(アリ-キック)氏。ラップって、大人にとっても難易度が高いものだと思いますが、子どもたちは上手にラップができるようになるのでしょうか?一部始終をレポートします!
時は6月某日、しとしとと雨が降る梅雨空の日。富ヶ谷保育園に向かうと、地域の住民・お店と園児さんをつなぐ役割を担う”地域子育てコーディネーター”として富ヶ谷保育園に関わる永井知佳子さんが迎えてくださいました。実は、ALI-KICK氏から今回のお話をご連絡いただいた時からとても楽しみにしていたんです。思わず、「私もラップできるようになるかなぁ?」と言ったところ、「それは別で」とあっさり断られましたが(笑)。
いざ、緊張しながらも興奮気味で教室に入ると、ALI-KICK氏がプロの顔つきで機材チェック中!時計が10:30を指す頃、子どもたちが続々と教室に入って来ました。
左:ALI-KICK氏 右:永井知佳子さん
ALI-KICK氏:
「リズムに乗って喋っちゃえば、ラップになります。それをみんなで楽しみたいなと思ってやってきました!ALI-KICKといいます。ハンバーグが好きです。好きなゲームは将棋です。よろしくね♪」
“ラップ”と聞いて、「Yo! Yo!」と声を出す子も現れ、盛り上がりそうな予感!そういうのは知ってるんだね(笑)。
ALI-KICK氏:
「“よろしくね”をリズムに乗せればラップになっちゃうんだよ。」
そう言いながら、ALI-KICK氏がこの日のために用意したトラックがプレイされ、ALI-KICK氏がまずお手本を見せます。ALI-KICK氏が自己紹介で話した内容を、そのままリズムに乗せれば、あっという間にラップの完成!音楽が始まった途端、子どもたちもノリノリに。さあ、みんなで練習スタートです!
ALI-KICK氏:
「まずはサビを作るので、音楽を聴いてみましょう。」
サビのトラックが始まると、ALI-KICK氏がサビのフレーズをお手本で聴かせます。なんてぜいたくなレッスンなんでしょう!
ALI-KICK氏:
「ラ・ラ・ラップって楽しい、ラップ楽しい!」
4つのグループに子どもたちが分かれ、ALI-KICK氏、永井さん、2人の先生のサポートにより、グループごとにサビを練習していきます。今回のキッズラップクラブに参加したきりん組のみんなは、5歳から6歳の年長さん17人。先生たちも子どもたちを盛り上げ、園長先生も後からやってきました!
みんなでサビの練習をしつつ、まずは曲のサビだけをレコーディングすることに。一通り練習の時間が終わった段階で、グループごとにマイクの前で練習の発表をしました。みんな、だんだんと温まってきたようで、フロア(教室)が湧き上がります。マイクを前にして緊張している様子の子もいましたが、次第にノリノリに。アクセントになる「ラ!ラ!楽しい!」の部分だけ元気に大きな声で強調するのは、リズムを体感している証拠です!みんな才能あるんじゃない!?
レコーディングしたサビの音源をみんなで聴いてみると、初めてとは思えないすばらしい出来!!子どもって、本当に何事も簡単に吸収してしまうんだなぁと感心しました。
ALI-KICK氏:
「次は一人一人、お題に沿ってラップしましょう!」
ALI-KICK氏が言うなり、フロアがザワザワ!みんな恥ずかしがって戸惑っている様子です。そこで先生がトップバッターでチャレンジ!
先生:
「私の名前は〇〇です、好きな食べ物たこ焼き・・・!」
次にもう一人の先生が、“わたしの名前は”、“好きな食べ物”、“好きな遊びは”のフレーズを録音!最初にチャレンジした先生も、再度“私の・・・”の部分を録音しました。子どもたちは、普段と違う先生のパフォーマンスに釘付けです。
ALI-KICK氏:
「さあ、みんなレコーディングしてみよう!」
恥ずかしさからか、みんな大騒ぎ。先生も「落ち着いて!」と、なだめていました(笑)。あまりに子どもたちが戸惑い、ザワついているので、ALI-KICK氏の提案により、もう一度練習タイムへ。ALI-KICK氏自ら各グループをまわり、丁寧に指導していきます。
ALI-KICK氏:
「“好きなー食べ物、い!ち!ご!”でもいいし、“いちごだぜ!”でもいいね。」
しばらく練習タイムが続き、いよいよ本番。トップバッターは女の子がトライ!「頑張ってー」と他の子供たちからエールが飛び交います!さあ、どんなラップになるかな?みんなで聞いてみよう!トップバッターでも物怖じせず、元気にパフォーマンスできました!
2番目の子はアドリブの効いたオリジナルバージョンを披露!この個性は大事にしたいですね!文字だけだと、キッズのライムやリズムなどが伝わりづらいのがもどかしいと思うくらいかっこよかったです。
3番目に挑戦した女の子は、いざマイクの前に立つと緊張からかモジモジ。恥ずかしいのかな?すると、他のみんなから激しい応援!ちゃんとやり切ることができました。
みんな自分のラップを聞いて、他のお友達が拍手してくれるととっても嬉しそうだったのが印象的です。
4番目の子は、パフォーマンスは難なくこなせたものの、いざ自分のラップを聞く段階で心臓ドキドキ、真顔で硬直。でも、聴き終わってみんなが拍手くれたらホッとしたのか、スッキリとした笑顔を見せてくれました。達成感を感じられたのかな?
ALI-KICK氏の丁寧な指導、先生たちのサポートもあり、レコーディングは無事終了。ここからは、ALI-KICK氏が曲を完成させる作業タイムに入ります。
待ってる間は、みんな期待と不安でドキドキしていたことでしょう。そんな子どもたちに、先生が声をかけます。
先生:
「今からみんなのラップをぜーんぶ繋げてくれるんだって!すごいね!だから少し待ってて。今日は楽しかった人―?」
子どもたち:
「はーーーーーい!」
先生:
「またやりたいなーっていう人――――?」
子どもたち:
「はーーーーーい!」
しばし待つこと10分ほど。ALI-KICK氏の作業が終わり、ついに曲が完成です。みんな緊張していたようですが、曲が流れると自然に手をたたいて歓声をあげていました!音楽っていいね、楽しいね!最初に録ったサビも入って、最後はみんな大きな声でmake noiseしてましたね!
今回は初めてということもあり、トライアル的な意味合いも多かったのですが、子どもたちが終始笑顔で楽しんでいたので大成功!キッズラップクラス終了後に、ALI-KICK氏、ながいさん、園長先生で、子どもたちが難しさを感じていた部分や今後の改善点などを話し合い、次回につなげていく計画も。
富ヶ谷保育園は、地域の人々と子どもたちの触れ合いの時間をとても大切にしていて、地域活動にも力を入れています。未来の富ヶ谷を担っていく子どもたちの中から、将来ヒップホップスターが生まれるかもしれませんよ。その時に、ヒップホップに目覚めたきっかけとして、この日のエピソードを語ってくれたらいいのになぁ、なんて夢見がちなことを考えてしまいました。
ALI-KICKさん、永井さん、富ヶ谷保育園の先生方、きりん組のみんな、ありがとうございました!
(取材・文 / hazuki)