代々木八幡駅のすぐ近くにある、外観もかわいらしいお花屋さん『FLEUR DE ARLES(フルール・ド・アルル)』。ヨーロピアンテイストのおしゃれな雰囲気と、個性的でキュートなブーケのデザインが人気のお店です。この街にオープンして18年。着実にファンを増やし続け、多くの有名人も訪れるそうです。どんなこだわりがあるのか、FLEUR DE ARLESの店主である太田正明さんにお話をうかがいました。
富ヶ谷新聞:
「こちらにオープンして18年とのことですが、ご自身でお店を開かれる前からずっとお花屋さんだったのですか?」
太田さん:
「お店を始める前は、建材を輸入する商社に勤める普通のサラリーマンだったんです(笑)。」
富ヶ谷新聞:
「そうなんですね!」
太田さん:
「当時、いろいろ行き詰っていたというか、そのまま会社員を続けていくのはどうなのかという思いがあったんですよね。なんとなく仕事が下火になってきているような気がしていたし、自分も40代に差し掛かろうとする頃で、どうせ転職するなら自分たちで何かを始めたほうがいいのではないかと奥さんと話していたんです。」
富ヶ谷新聞:
「なぜお花屋さんだったのですか?」
太田さん:
「パッ!と思いついて、“お花屋さん!”というわけではないんですが、妻の実家が原宿で30年続く花屋だったことが一つ。あとは、独立していざ何をしようと考えた時に、これまでのキャリアが活かせそうだったということですね。」
富ヶ谷新聞:
「と言いますと?」
太田さん:
「妻と出会った会社が建材メーカーで、内装の壁などの石材を扱う輸入商社だったんです。家具を主体にして、ベルギー製の建材やイギリスのインテリアなどを扱う部署にいたので、海外の良いものをたくさん見てきていたんです。建材だけではなく、設計から輸入してホテルなどに営業したり、常にデザイナーとも仕事をしていた関係で、新しいことを自分で始めるなら、そこで培ったインテリアの知識を売りにしたいという思いがありました。」
富ヶ谷新聞:
「なるほど!お花もインテリアの一部ですものね。やはり奥様のご実家がお花屋さんだったということで、知識は多少あったのでしょうか?」
太田さん:
「いえ、特に知識はありませんでした(笑)。完全に2人でゼロからのスタートだったので、退職前に、パリに本店を置く『レ・ミルフォイユ』の先生による独立開業コースに通って、お花の勉強、開業から仕入れ、経営に至るまでのお花屋さんに必要な運営ノウハウを学んだんです。」
富ヶ谷新聞:
「本格的にお勉強されたんですね!お勤めしながら学校に通うのは大変だったのではないでしょうか?お店の名前がフランス語なのも、その時の影響があるのですか?」
太田さん:
「ははは。まあ、学校は楽しかったですよ(笑)。お店の名前は、南仏に旅行に行って大好きになり、特にアルルという街が最高だったので、そういうイメージでやりたいなと。」
富ヶ谷新聞:
「だから“アルルのお花屋さん”という意味なんですね。奥様もお勉強されたんですか?」
太田さん:
「妻も学校に行き、ブーケなどのデザインをメインに勉強しました。僕は開業や運営を中心にしたコースだったんです。仕入れのノウハウやお花のメンテナンスとか。ああ、あとね、僕は勉強のために市場でバイトもしたんです(笑)。」
富ヶ谷新聞:
「ええっ!?修行ですか!?」
太田さん:
「そんなようなもんかな(笑)。夜20時に太田市場(東京都中央卸売市場のひとつで、青果と花き部門は日本一の規模)に行って、朝5時まで働くというハードなバイトだったんですけど、当時は若かったからできちゃいましたね(笑)。季節のお花はどんなものがあるのか、どんな季節にどこからお花が届くのかなど、何の経験もなくスタートしちゃっただけに、とても勉強になりました!」
富ヶ谷新聞:
「すごいバイタリティ!近道というか、あっという間にお花の専門家になれそうですね。」
太田さん:
「いやあ…最初は未経験だったから、デザインを売りにしていても、お客さんから辛辣な言葉をいただいたり、苦しいこともたくさんありましたよ。たくさんのお客様や注文に対応するサイクルをつかむのも大変だったし。とにかく目まぐるしく忙しくて大変でした(笑)。」
太田さんは明るくお話してくださいましたが、やはり紆余曲折、いろいろなご苦労があったのでしょう。そういった大変な経験を乗り越えて、街に愛されるお花屋さんになったんですね。
Fleur de Arlesさんて、もちろん特別なシチュエーション、晴れの日用は得意とするところなのでしょうけど、もっと日常に溶け込むような街のお花屋さんというイメージがあったんです。インテリアとの融合、というところも、お店の雰囲気も、太田さんのお話を聞いて納得です。店内にお花が溢れるステキな世界観は、どのように作られているのでしょう?
太田さん:
「多くのお花屋さんは、昔から冷蔵庫に保存しているのが一般的なんですけど、うちでは店に入った瞬間、お花の香りと色を感じて楽しんでもらえるようにしています。おうちの中にお花がある生活をイメージできるような店づくりを心掛けています。」
富ヶ谷新聞:
「確かに、切り花は冷蔵庫に入っているイメージです。」
太田さん:
「お花は生き物だからね、自然の寿命があるんです。冷蔵庫に入れていると1週間は持つし、見た目も良い状態で保てるんですけど、出すと1日でだめになってしまうことも多いんです。だから、うちは1週間少しずつ仕入れています。毎日店内に置いている花に変化はあるけど、強制的に冷やしてムリに良い状態に見せて売ろうということはしていないんです。お店にある花の見た目が良ければ売れるんですけど、買った翌日に枯れてしまうのは悲しいでしょ?」
富ヶ谷新聞:
「細やかな気遣いでお店の空間づくりをされているんですね。大量注文が入る時はどうされるんですか?」
太田さん:
「ご予約をお願いします(笑)。」
こちらはご家族でインドネシアに旅行に行った際に見たラフレシアをお子さんが描いたものだそう。お店の雰囲気をより明るくする微笑ましい絵ですね!
それほど花はたくさん置いていないと太田さんは言いますが、店内にはさまざまなお花で溢れていて、街中では感じにくい季節を感じます。外からは見えないけれど、お店に一歩入るとステキな空間が広がっているんです。インテリアの知識が活かされているからこそですね。
そして、FLEUR DE ARLESさんからプレゼントです!11月末までに「富ヶ谷新聞を見たよ!」と言ってお花をお買い上げいただいたお客さまに↓のドライフラワーのプチブーケをプレゼント!ぜひ一度訪れてみてください。太田さん、お忙しいところありがとうございました!
FLEUR DE ARLES(フルール・ド・アルル)
Instagram:https://www.instagram.com/fleurdearles/
営業時間: 平日10:00~20:00、土日祝10:00~18:00
住所: 151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-6-7 ベルビーマツヤ 1F
TEL: 03-6407-2187
*日曜日はお休みすることもございます。
*配達などで午前中は閉めていることもあるので、ご来店の際はお電話などでお確かめください。
取材/文:hazuki