今年の4月に惜しまれつつその歴史に幕を下ろした「長寿庵」さん。その知らせが結構急だったことから、閉店前は多くの常連さんや地元の人たちがこぞって自分の好きなメニューに別れを告げるために訪れていました。僕も大好きだったオムライスに別れを告げるため、行けるだけ通って「あの」オムライスを食べていました。蕎麦屋さんなんですけどね笑
閉店日にも足を運び、オムライスを注文すると、厨房から「今日はオムライスばっかりだね笑」なんて声が聞こえてきて、僕と同じような気持ちで「あの」オムライスを、長寿庵さんを愛してる方々がたくさん集まったのだなと、ぐっと来ちゃったのを覚えています。素朴なんだけど、どこか一味違うどうにも再現できない「あの」オムライス。美味しかったよなぁ。
しかし後ろばかり見てはいられない!未来に目を向けなければ!
ということで、その長寿庵さんの跡地にどんなお店ができるのか?それは富ヶ谷の住民にとって、大きな関心事でありました。
数か月の時を経て出来上がったお店がこちら!
Beasty Coffee [cafe laboratory]さん!
あ!長寿庵さんの瓦屋根残ってる!!!おっしゃれ!
松林さん(creative director)
作ってる間にもすごくたくさん聞かれました。「何ができるんですか?」って。
富ヶ谷新聞
よろしくお願いします!やっぱりみんな気になってたんですね。
松林さん
よろしくお願いします!やはり長寿庵さんの跡地ということでみなさん注目されていたんだと思います。
富ヶ谷新聞
Beasty Coffeeさんはカフェということでいいですよね?
松林さん
そうですね。amadanaという会社が運営しているのですが、amadanaが元々デザイン家電を作っていた会社で。僕自身もamadanaに入る前は耐熱ガラスメーカーにいまして、そういった流れでコーヒーと共に器具も設計・デザインしてご提供しています。
富ヶ谷新聞
器具もオリジナルで作っちゃったってことですか?
松林さん
そうです。たとえばこのドリッパーは有田焼なんですが、この溝を実現してくれる窯元さんを探すところから始めて。
富ヶ谷新聞
その溝にはどういった意味があるのですか?
松林さん
ペーパーをセットしてお湯を注ぐとわかるんですが、溝の部分に空気が入るんです。これによって適切な抽出をコントロールしてるんです。
富ヶ谷新聞
おお、なるほど!落ちるスピードやなんかが変わってくるんですね。デザインとしても美しい!
松林さん
そうですね。底の穴の径も、落ちるスピードに大きくかかわってくるので、コーヒーディレクターの尾籠さんと何度も調整しました。
尾籠(おごもり)さん
今日はありがとうございます。コーヒーを担当している尾籠です。よろしくお願いします。
富ヶ谷新聞
よろしくお願いします。(みんな男前だな。。)やはり器具から作っていけるというのは大きいですか?
尾籠さん
とても大きいですね。味に直結してくるところなので。
富ヶ谷新聞
あ!そのケトルに付いてるのは温度計ですか?
尾籠さん
そうです。豆や焙煎度合いによって温度を変えて淹れています。
機能的であってデザインもカッコいい。男心をくすぐられます。
器具は店頭で販売もされています。
富ヶ谷新聞
器具を見てるだけでワクワクしてきました!一杯いただいていいですか?
尾籠さん
もちろんです。コーヒーはスペシャルティコーヒーのブレンドになりまして、ダーク・スタンダード・フルーティーから選んでいただけます。
富ヶ谷新聞
スペシャルティをブレンド?珍しくないですか?
尾籠さん
そうですね。その豆の個性を楽しんでいただくのもいいと思うのですが、個性が強いものが多いなと思っていて。あえてブレンドすることによって、もう少し飲みやすくたくさんの方に楽しんでもらえるコーヒーをご提供したいと思っています。
富ヶ谷新聞
シングルオリジンといった考えが流行する中柔軟な発想ですね。とてもいいと思います!それではフルーティーをいただきます!
良い香り!
来ました!
富ヶ谷新聞
適度な酸味と甘さがフルーティーを演出していて、飲みやすくて本当美味しい!でもなんだろ?飲みやすいって一言で片づけたくない複雑な味わいがコーヒー好きも唸らせるんじゃなかなと。香りもいいなぁ。
尾籠さん
ありがとうございます。
松林さん
そのマグもBeasty Coffeeオリジナルで作ってるんです。
下唇が触れるあたりにRがありますよね?そこにRをつけることで口角が横に広がって口が開いて、舌全体で味わえるよう工夫しています。
富ヶ谷新聞
本当コーヒーに向き合ってますね!
松林さん
そうですね。コーヒーの監修を尾籠さんにお願いしたのも、色々なバリスタさんがいる中で、一番ストイックにコーヒーと向き合ってる方だと思ったからなんです。パフォーマンスが派手だったり、自分を押し出してくるバリスタさんが多くいる中で、武士のように真剣にコーヒーを淹れていて。
富ヶ谷新聞
なんかわかりますよ。武士。松林さんは刀鍛冶ですね。
富ヶ谷新聞
尾籠さんはいつもここでコーヒーを淹れてらっしゃるんですか?
尾籠さん
いえ。僕がいるのは週1,2回ですかね。色々なイベントでコーヒーを淹れたりセミナーをしてりしているので。
ということで、普段は店長の増井さんを中心にコーヒーを淹れてくれるそうです。
後ろむいちゃって写真撮らせてくれない。。照れ方かわいい。。
照れかわいい増井さんと美味しいコーヒー。僕の心に空いたオムライスの穴を埋めてくれたような気がします。
和と洋、クールさと暖かさが融合した素敵な空間で、ドリップコーヒーが落ちるのを待つ時間。丁寧に抽出されたドリップコーヒーの香りや味わいをゆっくりと楽しむ時間。 またお気に入りの場所ができました!
Beasty Coffee [cafe laboratory]
東京都渋谷区富ヶ谷1-19-3
OPEN 9:00~ CLOSE 19:00
定休日: 月曜日
TEL: 03-6804-8101